ホーム > ブログアーカイブ > 井上先生から、ご返答をいただけました :2007年9月23日
仕事でお世話になっている井上真伯さんから、長文のご返答をいただきました。
時間を掛けて丁寧にお答えいただいている姿勢に、井上先生の、普段のお人柄が良く出ています。感謝です。以下、ご許可をいただき、紹介させていただきます。井上先生は、銀行出身ですので私には無い視点でお答えいただいております。
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私は税理士ではありませんが、貸し手側から決算書を見てきた経験から、見解を述べさせていただきます。
> ところが、多くの貸借対照表では、この役員借入金は「短期借入金」に計上
> されているのです。そして、金融機関からの借入金は、返済期日が1年以内で
> あってもなくても、長期借入金に計上されていることが多いのです。
>
> つまり、私の目には
> 役員借入金 =短期借入金
> 金融機関借入金=長期借入金
>
> という基準が、一部の税理士さんにあるように思えるのですが、どうなんで
> しょうか。たまたま、私が接した貸借対照表を作られた税理士さんだけなので
> しょうか。
正論から言うと、大石さんのいう通りで、上記の基準というのはステレオタイプに過ぎる、と私も思います。
ただ、決算処理の実務の見地から見ると、上記のような基準で機械的に処理する先生がいらっしゃるのは、止むを得ないところがありますね。私から言わせれば、経営者と税理士、双方の怠慢なのですが。
借入の形式に「証書借入」(証貸)とか「手形貸付」(単名)があって、資金使途や借入期間によって使い分けていることはご存じかと思います。
経常運転資金などは、収支ズレの間を「借入期間」として設定して、借りては返し、また借りて…の繰り返しを行っています。(こういうのをロールオーバーといいます)大企業ならば、本当のスポットで無いときだけ借りて、すぐに償還して、時期が来たら必要な金額だけ借りるので、名実共に短期借入金なのですが、中小企業は、過去の税制の関係もあり、内部留保せず過小資本にしておいて、銀行から「借りっ放し」にしておくスタイルが定着していました。このため、形式的に3カ月返済の単名でも、それを1年に4回繰り返す訳ですね。
こうした状況にある企業の月々の試算表ををならべて斜め読みすると、期中に資金の行き来があっても、期末の金額は対前期で増減無しとなり、そのまま借りっ放しに見えます。このため、細かく内容を見ない(=月次チェックがキチンとできておらず、
決算時にエイヤ!で帳簿を整える会社)なら、長期借入で計上してしまえ、ということになるのでしょう。
役員借入も資金ショート時につまみ食いをして、埋めては戻しを繰り返すのは、単名と同様です。しかし、証拠となる書類はまず存在せず、ある時払いの催促なしで、肝心の社長が細かいディテールを忘れていれば、内容の把握が困難であるために,
その気になればすぐ返せるポケットマネーと考え、短期借入金で仕訳をすることになると考えられます。
逆にいうと、税理士が月次の資金繰りを把握できていて、借入の都度、借入形式および内容から「短期」「長期」を判定できれていれば、決算時に「短期」「長期」と区別できる訳ですね。
具体的には、短期借入金をロールオーバーする際に、弁済期日に別途決済(融資実行分から相殺するのではなく、別の資金で先に消す)した後で、再度融資を受けたなら、「短期借入金」として計上するのは問題ないと思います。
とはいえ、新規融資を実行して、その分から返す(肩代わりと同じ資金の流れ方)をしているならば、形式面では「短期」であっても、それは「長期」に計上すべきです。営業循環期間の間に、実質的に弁済できなかったのでから。
金融機関では、そのことを知った上で、決算書の仕訳はあてにしないで、趨勢比較をして、年次レベルの資金の流れで「長期」か「短期」かを判断し、格付を実施しています。したがって、大抵の中小企業では、役員借入・金融機関からの借入の両方を「長期」と読み替えられた数字で格付されるのが現実なのです。
加えて、ほとんどの付属明細には、借入条件(期間、割賦金額)を書く欄がないですから、金融機関が日頃から意識して他行も含めた借入内容を把握(+記録)しようとしない限り、正確な内容を掴むことはできず、趨勢比較の際には、「短期借入」で
上がっていても「長期借入」と解釈せざるを得まないのですね。
以上、長文失礼いたしました。
ご健康と社業繁栄を祈念申し上げます。
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昨晩は勢いで書いたので、大切なことを漏らしていました。以下、補足します。
趨勢比較を元に、税理士さんが「役員借入金」を『長期借入』に入れて決算書を作ったとしても、だいこうさんが元のエントリーでおっしゃっているように、実態として変わっていない(=趨勢比較で動き無し)と見える場合、ほとんどの金融機関は、役員借入金を「資本金」と看做して格付しております。
投稿者 井上真伯 : 2007年09月24日 21:59
井上さん、重ね重ねありがとうございます。ブログ読者さんも、きっと参考にしてくださったと思います。
来月、例の会でお会いできることを楽しみにしております。
投稿者 だいこう : 2007年09月26日 01:32